一部の人から支持されるナンセンスギャグツイートの作り方
今日はですね、僕が定期的に流しているナンセンスギャグツイート(と自分で言っちゃうのはどうかと思うけど)に関して、「どうやったら作れるの?教えて!」というご要望を、まま頂くことがありまして。
正直、ノウハウとかで作ってるわけじゃないので説明できるのか、自分でもわかりませんが、せっかく興味をもってもらったので、せめてどう考えてるか?という過程だけでもつまびらかにしていきたいと思います。
そもそもまず、どういうツイートなのか?例をあげますと、
さっきから宇宙人が俺の前に釣り竿垂らしてるんだが、付けてるエサが『氷』だったので、「バカにすんなコノヤロウ」ってぶん殴ってやったら、次からスタバのフラペチーノに変わった。
— 水輪ラテール (@minawa_la_terre) July 8, 2014
ウゴウゴルーガに対抗した番組『ウホウホゴリラ』ってやってるんだけど、想像通りゴリラがウホウホしてるだけだったので、苦情言おうとテレビ局に電話かけたら「貴重なご意見ありがとうござますウホ」って、こりゃもう諦めるしかないウホ。
— 水輪ラテール (@minawa_la_terre) July 9, 2014
「あぶなーい!」って言われたので後ろを振り向いたら、アブが9匹。「なるほど、これはアブ9(ナイン)。」なんて余裕ぶっこいてたら、下半身を虎に食われた。
— 水輪ラテール (@minawa_la_terre) July 9, 2014
などでしょうか。他にも、幾つかピックアップした記事もあります。
どうしても気分が乗らない時にすべきこと - どーでもイージー
ちなみに、これらは所謂自動つぶやき、つまりbotというやつにあらかじめ設定しといたものから、定期的にランダムで流してます。もちろん、手動でもつぶやいてますんで、気になったらフォローしてもらえると嬉しいです。
今の所、botに登録できるのが2000ツイートぐらいなんですが、まだその内200ツイート分ぐらいしか埋まってません。2000とかもはや苦行ですけども、少しずつ増やしてます。将来性という基準でフォローするなんて、新しいフォロースタイルを試すのも一興ですぜ。
基本、毒にも薬にもならないつぶやきしかしませんので、フォローしても毒にも薬にもならなくてオススメだよ^^
はい。宣伝でした。さて、では本題。
ナンセンスギャグツイートの作り方
まずですね、こういったギャグが理解できる人と出来ない人に分かれると思うんです。如実に。こればっかりは、各人のセンスや育ってきた過程に由来するので、合わない人は合わない、ってのは仕方のない事なんですが、中にはわかるようになりたい!とかわかんないけどこういうツイートしてチヤホヤされたい!とかって思う人もいるんじゃないかと思います。いないとしても書き出しちゃったから続けます。
いざツイートをする時にも関係しますが、そもそも面白さを理解できないと作ることは出来ません。本人が笑えてなかったとしても、こういう理屈で面白いんだな、とかこういう感覚が面白がられるんだな、とかって感性は持ってるほうが良いでしょう。
一番簡単なのは、「触れてみる。」です。
いくつか、参考にすべき教材を列挙します。アフィカスとでなんとでも呼べばいいと思います。実際、ナンセンスギャグの感覚を知るためにはとても有用です。
モンティ・パイソン
もはや、そのスジでは伝説になっている人達です。ちょっとググれば腐るほど情報は出てくると思いますので、興味があれば調べてみてください。
ペットショップに「この店で買ったインコが死んだじゃないか、どうしてくれるんだ!」ってクレーマーが死んだインコ持って現れて、店員と言い争いするコントとか、実際ナンセンスです。インコでカウンターをバッコンバッコン叩いたりします。
伝染るんです。
これも伝説的なナンセンスギャグ漫画。なにも伝染るんですじゃなくても、吉田戦車作品なら良いとは思いますけどね。
自転車乗ってる人が、側方のブロック塀からちょうど顔の高さの辺りに、ブロックが道へ突き出ているのに気づいて、「なんだよあぶねーなー」って言いながら、迂回せずにそのブロックの下を身をかがめてくぐる、っていうのを僕はよく覚えてます。
伝染るんです。だったかどうかは不明ですけど。
文章にしちゃうとナンノコッチャかもしれませんが、まあ、読めばわかると思います。この辺りの、『ブロック塀が飛び出ている状況』とか『迂回せずにくぐる』とかが、ナンセンスな手つきです。あり得ないのに、なんかわかる感じとか。この辺りの感覚がつかめると、ナンセンスギャグ作りの第一歩を踏み出せたといえるでしょう。
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連載後半は流石にグズっとしちゃったけど、前半は秀逸だった。これで学んで欲しいのはスピード感。間と言ってもいいかもしれない。漫画ではあるけど、かなり間を意識した作品だったと思う。
これ、結構重要。さきほどの伝染るんです。にしても、モンティ・パイソンにしても、それぞれのスピード感がある。ひとつ言えるのは、あんまりのろいスピードだと人は笑いづらいという事。
その他
ここに挙げたのは、僕が今パッと浮かんだものだけです。
ナンセンスギャグって他にも一杯あるので、色々調べて好きな作者に出会うといいと思います。
ちなみに、読むときや観るときには、理屈を追っちゃいけません。1コマ目に壁から出っ張りがでてて、「どうしてでてるんだ!?」なんて立ち止まっちゃダメです。まあ、うまく作られたものであれば、そんな事考えさせないんですけどね。その為に、スピード感が重要になります。立ち止まらせちゃダメなんです。
作ってみよう!
さて、消費するのと生産するのでは、全く話が違います。大人ならおわかりと思いますけど。
では具体的に、生産する方法を、僕の考え方の一例をもとに考えていきましょう。
ひとまず、これまでの皆さんのリアクションの中でもとりわけ人気の高い、
「あぶなーい!」って言われたので後ろを振り向いたら、アブが9匹。「なるほど、これはアブ9(ナイン)。」なんて余裕ぶっこいてたら、下半身を虎に食われた。
を例にします。
1.キーワードを決める
これを作った時、まず最初に決まったのは「あぶなーい!」でした。
なぜそのキーワードが浮かんだかといえば、お笑いのセオリーに、「緊張と緩和」というものがあるからです。観客を(ある意味)緊張させて、それを緩和させると、その落差で人が笑う、という仕組み。正直、言うほど簡単に実践できる仕組みじゃないんですけどね。やってみるとわかります。まあ、そんな愚痴は置いといて。
皆さん、よく勘違いされるんですが、「緊張と緩和」において、まず大事にしなきゃいけないのは、「緊張」だという事です。これを理解せずに緩和(ボケ)だけ作って失敗する人が後を絶たちません。ご注意アレ。
さて、そんなわけなので、「緊張を想起するキーワード」を一番に考えだしたわけです。
他にも色々あると思いますけどね。「『まぜるな危険』という表示」とか。なにより、緊張です。緊張っていうのだって、色々な緊張があります。精神的、肉体的、経済的、などなど。
2.緩和を考える
緊張と来たら、緩和なわけです。ここは、色々考えられると思いますが、この時は、「あぶなーい!」から、緩和というよりも、なにか面白くならないかな?みたいな風にアレコレ考えていた所、「あぶなーい!」の「アブ」が虫のアブってのはどうだ?となりました。ええ、ダジャレです。で、となると残りの「なーい!」が問題になるわけです。もう、こうなると、「9(ナイン)」しか浮かびませんでした。
こうして「アブ(ナイン)!」にたどり着きます。
3.スピード感を加える
先程も散々口酸っぱく書きましたが、スピード感が重要なわけです。
そうなると、「あぶなーい!と声をかけられる。」ぐらいまではそこそこスピード感ありますよね。そこから先、アブ(ナイン)まで繋げる必要があります。「あぶなーい!と声をかけられたら、アブ9(ナイン)だった。」と繋げたくなります。が、これじゃ意味も通りませんし笑えませんよね?
そこで、動きを意識して書き換えることを考えます。
「あぶなーい!と声をかけられて振り向いたら、アブが9匹いた。アブ9(ナイン)だ。」
意味も通るし、ちょっとスピード感が出た気がします。ただ、あんまり面白くないわけです。なぜなら、アブが居ただけで終わっているからです。実際出来事として何かが起きて終わっていない。これはイケナイ、と思うわけです。
4.エスカレート
よく使う手なんですが、なんでも必要以上に多くしたり大きくしたりする手法です。
この時は、「あぶなーい!」で始まっているため、なんとなく『とんでもない被害にあう』とエスカレートしていいんじゃないかな?と考えました。で、とんでもない被害って何かな?って考えるわけです。この辺りはセンスだと思いますが、なんとなくアブが9匹も居る所って森っぽいですよね?そうなると、虎だな、と。出てくるわけです。ここにロボコップとか出てきてもちょっと違うな、って思ってしまう。
この辺りの、リアリティと非リアリティのさじ加減は、ナンセンスに慣れてくるとわかると思います。リアリティが存在してこそ、非リアリティを納得させることが出来る、と考えてもらっても差し支えないです。
「あぶなーい!と言われて振り返ったら、アブが9匹いた。アブ9(ナイン)だ。と思ってたら虎に襲われた。」
どうだろう?だいぶ良くなったように思う。けど、まだなにか足りない。
5.意表をつく
最後虎に襲われるっていう事だけでも大分意表をついていると思われるかもしれません。けれど実は、読む人はそれじゃ意表はつかれません。これもお笑い駆け出しがよく失敗する典型例ですが、「観客の意識を誘導する」事を忘れます。「フリ」って言葉は聞いたことがあると思いますが、この「フリ」とは単にどういう言葉を喋るかという事が問題では無いのです。大事なのは「観客の意識をどこに向けるか?」なんです。このことが理解できずにつまずく人は沢山居ます。
さて、こちらが観客の意表をつくためには、まず油断してもらわないといけません。
油断してもらうためには、ある一方に意識を誘導する、とか、バカっぽくする、とか色んな手があるとおもいます。特にバカっぽくするのを僕は意識します。バカっぽいテイストにすることで、ヒドイことが起きてても冗談のように読みやすくなるからです。そんな観点にたって、短文を組み上げていきます。
「あぶなーい!と言われて振り返ったら、アブが9匹、なるほどこれはアブ9(ナイン)なんて油断してたら、虎に襲われた。」
だいぶ近づきました。でもラストが気に入らない。なんとなく被害が弱いというか、明確じゃない。ここは具体的にした方がいいな、と。
6.具体化
ただ虎に襲われるんだと、爪で引き裂かれるとか、腕を噛まれるとかありますよね。先ほどのエスカレートを踏襲して、でっかい虎を想像したわけです。でっかい虎に襲われるとどんな感じだろうか?と考え、また、後ろ振り返ってアブに目線(意識)が行ってるわけだから、意識の範囲外といえば、下か…。となると、下半身まるごと虎に食われちゃうってどうだろう?
と、思い至った辺りで、考えながら自分で笑っちゃうわけです。これも大事。自分で笑っちゃうという価値基準。こうなったら、しめたもの、といつも思ってます。
7.調整
で、あとは文字数制限とかあるので、こちょこちょいじりつつ、これまでの考えを最大限活かせるように整えていった結果、
「あぶなーい!」って言われたので後ろを振り向いたら、アブが9匹。「なるほど、これはアブ9(ナイン)。」なんて余裕ぶっこいてたら、下半身を虎に食われた。
というツイートが出来上がったわけです。
まとめ
いやー、こうして文字に起こすと結構な重労働ですね…。実際には、色んなパターンとかも考えたり、時には直感的に処理したりします。1~7はほとんどが同時進行みたいな感じです。
ざっくり短く表現すると、「ナンセンスな空気を意識しつつ、読む人を裏切るようなバカっぽいツイートを目指す」といったところでしょうか。
判断基準は、自分で笑うか笑わないか、です。
あくまで今回は一つのツイートを元にそれの完成までをたどった一例でしかありません。エスカレート以外の手法なんかもあるにはあるんですけどね。まあ、色々見たりして分析してみる楽しさを味わうのも良いんじゃないでしょうか。
以上、みなさんのよきツイートライフの参考になったらいいなぁ、と思っとります。
僕の作るものに合わない人、ってのも必ずいますからね。一人でも多くの方が、ギャグを世に生み出してくれたら、その分、笑いが世の中に増えるってもんです。
それで世の中に笑う人が増えるなら、すばらしい事じゃないですか。
願わくば、こういう事に金銭的価値を認めてもらえたら、もっと面白いモノが世の中に増えると思うんですけどね。まあ、今は仕方ない。
にしても、こんなことを、あと1800ツイート分もやろうとしてるのかと思うと、ちょっとめまいがしますね。でも少しずつ続けていけば、到達できるでしょう、きっと。千里の道も一歩から。
もしよかったら、このバカなおっさんのバカな挑戦、フォロー&応援して頂けましたら幸いです。
Kawaiiは作れる。Kichigaiは作れない。
— 水輪ラテール (@minawa_la_terre) July 7, 2014